東芝のHD DVD事業撤退に思うこと

73月 - による yuichiro ikeda - 2 - コンフィデンシャル

東芝のHD DVD撤退の発表から、まだ数週間しか経っていないのに、その後三菱電機の携帯電話事業撤退、パイオニアのプラズマパネル生産撤退、マクセルのメディア事業撤退など、撤退ネタ(しかも完全撤退)等が連続しすぎていて、ずいぶんなりを潜めてしまった感じですね。
撤退の発表直後には、大手電気店からはHD DVD搭載機種の撤去が始まり、関連各社にも影響が出ました。東芝の公表文に「DVDの規格競争により、消費者にも影響が出るために、早期に東芝の立場を明確にした」とあるように、当初誰もが予想していた規格競争よりもずっと短期に標準化が決定してしまいました。ある意味では東芝がこれからも体力を削り続けてHD DVD陣営を引っ張っていくだけの力が余り残っていないし、残っていたとしてもNAND型フラッシュメモリーに代表される半導体事業に全精力を傾けたいところで、「余計な」事業に投資している場合でもないのかも知れません。
ところで早速本題なのですが、2月19日に発表された東芝のHD DVD事業撤退ですが、僕はこの撤退  というより、「ブルーレイが選ばれた」ということに非常に疑問を持っているのです。
・なぜHD DVDではなくて、ブルーレイなのか

・HD DVDが撤退したらブルーレイが標準となるのか

・なぜ選ばなくてはならないのか
今回は映像メディアの戦いだったこともあり、ビクターとソニーのVHS vs ベータ戦争がよく引き合いに出されました。VHS vs ベータ戦争のときはメディアそのものの性能如何ではなく、メディアを使って商売をする映画会社を取り込むことで結果的にVHSの圧勝になったと、分析されています。今回のHD DVDとブルーレイの戦いにおいても結局その面が強かったように思います。
当初、「ウォルト・ディズニー」「20世紀フォックス」「ソニー・ピクチャーズエンターテイメント」が支持するブルーレイに対し、「ユニバーサル・ピクチャーズ」「パラマウントピクチャーズ」が支持するHD DVDも結局「ワーナーブラザーズ」がブルーレイについたことで決着がついたという感じがします。
規格の面で両者を見てみると、ブルーレイは大容量、HD DVDは従来の規格を引き継いだ低価格を売りにしていました。最終的にはブルーレイ陣営のディスク、再生機器等の価格が下がったことで、大容量+そこそこ低価格のブルーレイが勝ったという感じでしょうか。
でも、何かユーザーの視点に立っているわけではない競争に思えてならないのです。映像ソフトの作成者は直接ユーザーに買ってもらう映像ソフトをブルーレイ陣営に所属することで「安く」提供しようとしているし、ハード会社だって同じことを考えています。でも、・・・・

(all about「次世代DVDはブルーレイ? or HD DVD?」より)
しなしながら、開発メーカーにとっては、特許料を「得るか」、「支払うか」では雲泥の差が有りますので、両陣営そう簡単に譲る訳にはいきません。 コンテンツを供給するハリウッドの映画会社の支持を得て、優位に立ちたいところです。

ということもあるのです。
両方式には一長一短があって、ユーザーの視点からなら「どちらでもいい」話に違いありません。
?今まであるものを土台にして、それを崩して新しいものを作り上げる? 日本人がもっとも得意とするやり方です。もちろん日本人だけではなく世界中の、そしていままで多くの人類がそうして近代化を果たしてきたのだと思います。しかし、なぜ新しくなければならないのでしょうか。なぜ一つでなければならないのでしょうか。今回の東芝の撤退は東芝の事業戦略の誤りを認めざるを得ないのかも知れません。でも、必ず新しい、もっとも高性能なものをつくることが、新しい未来への入り口だという考えを、ちょっと横に置いてみれば、よりコストのかからないブルーレイほど高性能じゃないかも知れないけれども、現行規格から考えれば十分高規格化したHD DVDだって十分な機能を備えているはずです。
それに、今時DVDは映像ソフトを提供するためだけのメディアではなく、「データを保管」するメディアとしても有効なわけですから、なにも「標準化」という魔法のような言葉のもとに技術を捨てる必要はないと思うのです。
ISOをはじめとして、業務の作業手順からねじの規格にいたるまで、確かに標準化することによるメリット(マスコラボレーション、コスト、ユーザー保護)は計り知れないのですが、古いものを切り捨てて新しいものを導入することが標準化なのでしょうか。
僕は東芝とは全く関係ないけれども、今回のブルーレイ vs HD DVDの規格競争をみていて、あまりにも愚かに感じてしまってエントリーしました。
*東芝 プレスリリース(2008年2月19日)(PDF)

“東芝のHD DVD事業撤退に思うこと” への2件のフィードバック

  1. ユーザーとしては複数あって競争状態が一番いいと思いますね。
    ただ互換性がないことが本当にユーザー不在かなと。
    個人的には今の電子マネーの状況を何とかしてほしい。
    それぞれの利権でedy、suica、nanacoと乱立しているので、
    すべてFelicaのはずなんだけど。
    まぁ企業体としては儲けてなんぼ。なんだろうけどね。

  2. 今回は書いてあるように別に武器というか、次世代の勝負フィールド持ってる東芝と、「今」をとにかく死に物狂いで守りたいSONYとの幅の広さの違いを感じたけどね。
    標準化って宿命だよね、モノを売る勝負になると。実際ヨーロッパ基準が日本の工業規格を駆逐してるアジアの現実を考えると、ハードでの規格ってこれからもっとメーカー手動になるんだろうね。
    一方でネットサービスがずいぶんリアルな収益になる時代になってきて、ソフトウェアの標準はあってもほぼ枠もなくニーズをつかんだものだけが残ってくWEBの世界って改めて別世界だよなぁと。読んでてそんなことを思いました。

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