あるものをよりよく

1511月 - による yuichiro ikeda - 3 - コンフィデンシャル

PLC(Power Line Communications)という技術をご存じでしょうか?

今まではネットにつなげるときには、パソコンを動かす電源とインターネットに接続する電話回線とが独立して別々に必要でした。これを電源だけ一本にしてしまうという技術がPLC(日本語では電力線搬送通信)という技術です。つまりはコンセントにプラグを差し込むだけでパソコンに電源を供給しながらインターネットに接続できてしまうって訳です。有線にしても無線にしてもインターネットに接続ってのはなにかと面倒くさいものですし、ケーブルがごちゃごちゃして見栄えも悪い。そのあたりをすっきりさせるいい技術ですね。

でも、本当にコンセントにプラグを差し込めばよくなるのはまだ少し先の話で、その先駆けとしてパナソニックコミュニケーションからHD-PLCという規格のこれに近いが製品化され12月に発売されることになりました。

2006-11-15-plc

この技術は、家庭内のインターネット接続を電力線だけですませるようにするもので、宅内までのネットは今までの電話線を利用しています。そのモデムからこの機械を通すとコンセント内に情報が流せるようになるわけです。

さて本題ですが、最近新しい技術がどんどん開発され、新規格が登場している一方で、既存のインフラを生かした技術というのも多く開発されているように思います。上のPLCもその一つ。インターネットに接続するために電話回線を光に変えるのではなくどの家にも必ず敷設されていて、どの部屋にも繋がっている電力線を利用しているという点が。ブルーレイとHDの対戦に見るように次世代の新しい規格を巡る争いはある意味技術発展という点ではいいことかもしれませんが、新しいことは作り出すことはある意味では簡単なことです。何もないところに作ればいいのですから。難しいのは、もうすでにある枠の中で新しいことを実現しようとするときです。もしかしたら妥協したりあきらめなければならないことがあるかもしれませんが、既存のものをそのまま利用できるというメリットは大きいとともに、ある規制の中で新しい技術を開発したということは開発者としても技術者冥利に尽きるというものではないかとも思うわけです。

そう考えるとそもそもADSLという技術だって既存の電話回線を利用した高速通信技術ですからこれに該当します。

ところで、多くの場合ここで意外な壁にぶつかることが多いようです。それはつまり「規制」。日本で初めてパソコンを利用した通信が利用されるようになってからまだ15年程度しかたっていませんが、そもそも電話回線は音声の伝達のために設置されたもので、それ以外の用途に利用してはならないという規制がありました。既存のインフラを利用するということは技術が開発できても、それを社会で利用するには規制の壁も超えなければなりません。

いろいろな壁はあるけれども、新しい技術を開発するときにある程度の縛りのなかでより高度なことを実現させるということもこれから必要なのではないかと思います。環境にも優しい可能性が高いですしね。

あまり関係ないけれども、ついでなのでおもしろい技術をもう一つ。音響OFDMという技術。ある意味ではPLCの技術に近いですが、音に情報を載せるという技術で、これを携帯電話に搭載することで、何気ない日常の「音」から情報を得るということが可能になるのです。もちろん双方向性はないですが、一方的な情報提供の面ではおもしろい技術だと思います。たとえばラジオを聞きながら流れた曲の情報がすぐにわかったり、広告サイトのアドレスやより詳細の情報の提供ができたり。既存のインフラは利用していませんが、音は空気や水などの媒介がある限り伝わる普遍のもの。そこに着目したちょっとスマートな技術じゃないでしょうか。

*パナソニックコミュニケーション PLC

http://panasonic.co.jp/pcc/products/plc/index.html

*NTT DoCoMo Research & Development 音響OFDM

https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/20060413.html

“あるものをよりよく” への3件のフィードバック

  1. なぜ電力線通信、PLCに反対なのか

    先日のエントリーへのコメントにも書いてありますが、改めて別途エントリーとして書いておきます。
    私がなぜ反対しているかと言えば、既存の短波利用者をないがしろ…

  2. おっついに林檎ですか
    いらっしゃ?い!!
    マルチメディアとかまあいろいろいいところはあるけれども、何がいいって最初に少し高めのものを買っておくと買って2年経った今でも全く見劣りしない性能を維持しているところ
    僕はあんまり仮想化技術は使ったことはないけれども、一大何役ってのも便利かも知れないね Macの場合にはまだ若干不具合があるみたいだけれど

  3. コンセント通信(個人的にはこの呼び方を使い続けてます)、ようやく実物が見えてきたね。
    まぁ書いてあるように、これからクリアしなきゃいけないハードル考えると、各メーカーの出足が劇的になってないのはまぁしょうがないかな。
    2007年はN/Wインフラでは間違いなく浸透してく要素技術になってほしいね。
    2007年のハナシになったから(というか勝手にした 笑)、ちょっとかなり先走りの展望で行くと、OSの方では、本格的に仮想化がムーブメントになりそうな予感がしてます。
    VMWareを入れればノートPCでもWinとLinuxの共存は数分で実現できちゃう。ますますLinuxの垣根は低くなるね。
    ビジネスフィールドでもSOX法対策でストレージ増強が懸案になった時、全然関連性のない企業同士が巨大ディスクを仮想化で論理分割して共有する、なんてのはあたり前になりそう。エンタープライズクラスのシステムが「ちょっとサーバやディスクを増やしたり減らしたり」っていうのが当たり前になる黎明かな、今年末?来年は。
    仮想化技術も、まさに「古くて新しい」。何十年も前にベースの技術はできちゃっいて、なんかハードがそれを現実的にできるレベルに追いついたってところ。
    ということで、仮想化技術のおかげで、りんごの上で窓を動かすことがもはや落ち着いた技術&サービスとして定着しそうな感があるので、窓に固執する理由が見当たらなくなりました。
    パーソナル環境(特に映像とか音楽とかのエンタ分野)としてはりんごさんの優勢は明らかだから、年明け目途に本格的なりんご移行を検討しよっかな?と思ってたりします。

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